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酷寒の峠


今回の行程

自宅〜鞍馬〜花脊峠〜別所〜八桝〜大布施〜広河原〜能見坂〜久多〜葛川〜花折峠〜途中峠〜大原〜自宅


ついにあの800m級の峠に挑みます。RにもKにも越えられたんだ、俺にも行けない筈がないと自分に言い聞かせながら、朝6時に出発。11月も終わりなだけに辺りは漆黒の闇(言い過ぎ)。こんな中、狐坂を越え、岩倉に入ります。しかし、薄い霧の中から現れたのは墓地。いつもなら軽く流すんですが、時間帯と雰囲気がこれなだけに、結構暗い影を管理人の心に投げかけます。
岩倉、市原と通過し、いよいよ霧深き鞍馬に入っていきます。
  

 

しかし、鞍馬侵入早々からハプニングが。
・ハプニング1……電池切れ:この赤い橋の付近でデジカメの電池切れが発覚します。――予備の電池持ってきて良かった。
・ハプニング2……猿!:気を取り直し、鞍馬寺で地図を調達しようと山門をくぐった帰りし(余りにも朝早すぎて寺には誰もいませんでした)、突然

「ワンワン湾ワン」「◎●★〒、ギャオ、ギャー」

始めは犬が猫を追っかけてると思ってたんです。でも、よく考えてみてください。犬って普通は屋根の上を走りませんよね………。そしてなんだか猫にしては巨大な上に毛深いような気がしてきました。もしや………。
しかし、この疑念も長続きはしませんでした。もうちょっと北上したところに、……いました! です。こんなとこにもいるもんなんですね〜。因みにワンワン吠えてたのは後で聞いたところによるとボスザルだそうです。いやはや、恐ろしい限りです。もしやこの集落は猿に乗っ取られたのかと考えながら(鞍馬の皆さんごめんなさい)、いよいよ鞍馬温泉の脇を抜け、花脊峠へ。


現在の気温0℃! こんなおっかない最北の峠を通って道は北へ北へと続きます。北に行くにつれて木立もいっそう密になってきます。


それに伴い、加茂川もどんどん小さくなり、今や白川や紙屋川と同レベルになってしまいました。………前方に何かいやな予感が。


来ました! 花脊名物鬼畜のヘアピンカーブ! 左の写真をご覧下さい。これを見て、中央の写真を撮ったのがついさっきだって信じられますか?


………何だと、分岐点!? こんな山奥で分岐点を作る意味があるのだろうか? それも、名目上は国道。かの有名な百井別れです。獣道とかじゃぁないんです。看板によると「百井方面・幅員狭小・路肩弱し」とのこと。でも、この程度ではこの国道に対するイメージは湧きませんよね。具体例を一つ。ここは「大型車両通行禁止」です。右端の写真をご覧下さい。車のことは余り知りませんが、この道を見る限り、車と車がすれ違いでもしたら、あっという間に崖の餌になってしまう気がします。………といってもこんな所を2代以上の車が通る必要性がいまいち見あたりませんが。


百井別れを越えても道はまだまだ続きます。時には遙か上の方にガードレールが嘲るように顔をのぞかせたり(左)、ヘアピンカーブが襲いかかってきたり(中央)。そうしている内にようやく日の出を迎えましたが、道の険しさも、身を切るような寒さも全く和らぐ気配がありません。


道を進むと、………思わず一声、「またかよ!」と叫んでしまいました。右の写真をご覧下さい。どこかでほぼ同じものを見た気がしませんか? カーブの所々で展望が開けそうになるのですが………木が邪魔です。この辺は北山杉で埋め尽くされているので、全然展望が開けません。………杉花粉症の御方は、春先は行かないことをオススメします。杉の量は半端じゃないんで。

←しかし、終わらない峠は決してありません。こいつをぐるっと回って、

来ました、頂上!!

花脊峠制覇!!

この達成感………何に例えればよいのでしょう? ゲーテが『ファウスト』の中で、

たやすく手に入れたのは僕の気に入らない。
無理に手に入れたものだけが本当に嬉しいのだ。

(『ファウスト』9780-3〜6)

といってるのは、あながち外れてはいないのかも知れません。(因みにかかった時間は総計1時間15分でした。)

後は降りです。

信楽以来の猛スピードが出ました。まぁ、標高800m級の峠からの降りですから当然と言えば当然なのですが………。

一度皆さんもやってみてはどうでしょう。ただ、管理人のように冬場に行くと、風で耳がちぎれそうなぐらい凍えますが………。

いやはや………。絶景に次ぐ絶景です。でも、一つだけ重大な問題があります。………自転車が止まらないんです(泣
しかも吹き付ける風は、軽く0℃位なんで耳がちぎれて飛んでいきそうになるんです。
その証拠が↓

あれはまさか………霜!!

最初にも断っておいたかと思いますが、このときカレンダーの日付はまだ11月です。確かに11月は霜月と言いますが、地球温暖化はどこへやらの世界です。

なのに、一面の霜

国境の長い峠を抜けるとそこは一面の霜であった。

川端康成の名文を改造して駄作にしてしまいました。でも、実際にそんな気分になりませんか?

何にせよ、ものすごい寒い世界です。だからこのタイトルを『酷寒の峠』にしたんです。………だからといって峠を越えれば寒さが収まる、なんて簡単なものでもないことは後々判ります。

半ば凍った朝露の滴る峠を下ると、遂に来ました花脊の集落です。集落の入り口の手前にいたお地蔵さんは、こうして今まで無数の旅人を見送ってきたことでしょう。
しかし、集落に入って思ったことが一つ。この集落、やけに静かです。

まだ早朝ってこともあるのでしょうが、物音一つしません。 しかし次の瞬間、

ドスンッ!

↓原因                      ↓結果
 

余りにも物音がしないと、人間は神経質になってしまい、こんな木の実にさえ怯えてしまうものなのだと云うことを痛感しました。でも、これもそれなりに大きいんですよ。だいたい縦12cm、横7cmぐらいあった気がします。物差しで測った訳じゃないから正確なことは言えませんが。

さて、いよいよ花脊の集落の中央部に入ります。………とはいえあんまり人口密度はなさそうですが。

この辺まで来ると、とっても懐かしい光景の数々が目に入ってきます。右側の写真をご覧下さい。京都市在住の皆さんなら必ず見たことがある筈。―――そう、花脊山の家です。京都市の小学校は猫も杓子も小4の時点でここに一種の合宿をしに行くんです。この直前ぐらいになると休み時間も児童を無理矢理集めてあーせいこーせい指示を出すんですよね………。まぁ、中にはこれが好きな児童もいるようですが管理人はその範疇に入りませんでしたね。

ちなみに、左に写っている校舎は何と、世にも稀な小中一貫校です。過疎化が異常なほどに進行してるんですね〜。管理人が通っているのは中高一貫校ですが、小中一貫校は初耳です。

そうこう言っている内に、花脊の集落も終わり、八桝回廊(要は鞍馬街道の花脊〜広河原間)に入ります。
勾配や長さ、交通量等から言って理想的なサイクリングコースだという点には管理人もR氏に同感なのですが、ただ温度の点ではいささか拙いと思いますね。確かに空気はきれいなんですが、右の写真をご覧下さい。な、な、なんと、

−1℃!

温度計に向かって思いつく限りの罵声を浴びせかけながら、ひたすら北へ。どうなってんだ、ここは………?

八桝回廊を北に上るにつれて、道の傍らを流れる別所川もどんどん大きくなっていきます。そして、神社の横を抜けて、八桝の三叉路に到着です。ここから道はふたつにわかれ、下の写真に見るように左へ行くと丹波国北桑田郡旧京北町、右へ行くと山城国広河原へ行くことが出来ます。

ただ、今回の目的地は最果ての限界集落久多なので、進路は右へ。

道は徐々に勾配を急にしながら北へ北へと進みます。山道だけにかなりカーブが多いんですね〜。「ようこそ広河原へ」という看板のある橋に着くまでに何個のカーブを通ってきたやら………。しかし、「ようこそ」と言ってからも道は続きます。桂川の隣を逆走しながら峰定寺の脇を抜け、広河原の集落(?)にようやく入ります。 (?)としたのは、川の向こう岸に家がまばらにしか現れないからです。

びっくりするような吊り橋を見た後今日初めて人間を目撃! 畑の手入れ――でしょうか?――を家族でしておられました。念のために久多への道を尋ねるとだいぶ丁寧に教えてくださいました。………有り難うございます。 

戦略的視点から見ると要地とも言える川の合流地点に聳え立つ小学校の傍らを行き、遂に能見峠へ。直前の看板を見て判るように、行こうと思えば佐々里峠を越えて美山町にも行けたでしょうが、行ったら恐らく1日では帰ってこれないので、これはまたの機会――そんな機会があるのだろうか?――に行くとしましょう。

能見峠の看板が出現し、素破、峠に突入かと思い身構えるものの、少し坂を上った後にはまた普通の田舎道が開けます。小川に沿って久多を目指して東へ進み、暫く自転車を漕ぎます。

ここは広河原の能見集落。

所々にこういう日本の原風景とも言える家が点在する他は、田園を別にすれば道だけがこの山間の人工物といえましょう。

←何か見覚えのあるものを発見!
子供の頃よくこれを投げて遊んだような………そう、正体は雪!

管理人にとっては今年度の初雪に当たります。地球温暖化はどこへ行ったんでしょう?

初雪発見地点から更に暫く行くと、遂に能見坂がその全容を明らかにします。さながらパルテノン神殿の柱を思わせるような、規則正しい北山杉の柱廊がその入り口です。
………余談ですが、これを見ていると小1の頃に読んだ、ミヒャエル・エンデの『果てしない物語』というファンタジーに出てくる南の御告げ所の挿絵を思い出します。管理人はあの本を読んだから、今文系に進むことが決まったのだと言っても過言ではありません。
しかしこれもまた別の話、またいつか別の所で話すとしよう。(by ミヒャエル・エンデ)

だんだん坂がきつくなってきて、徐々に能見の山々の斜面を這い登っていきます。辺り一面に霧が立ちこめ始めます。山の天気は本当に変わりやすいので要注意です。この辺になってくるとかなりしんどい………_| ̄|○

そんな能見坂で湧き(?)水発見!! 雪解け水でしょうか? 或いは本当に湧いてきているのでしょうか? 誰か知っておられる方がいたら、教えてくだされば嬉しいです。一瞬飲んでみようかなと考えはしたのですが、フェンスとかがあるのでやむなく断念。

霧が晴れてきました。こうしてみると紅葉がまずまず進んでいてなかなか見物です。昼頃には体感温度も日向では15℃ほどに達しているので、晴れの日に朝方さえ避けていけば、紅葉狩りにはオススメのスポットとも言えますよ。
そんな中、今年度2つ目の雪の塊を発見!! もはやこの辺に来るとここが山城国内だという実感がなくなっちゃいます。落ち葉が結構積もっているところから見てそれなりに前にかなりつもったんでしょうね〜。

無心に上り続けること半時間、ようやく救いの看板が見えてきました。光の当たり方のせいで多少見えづらいですが、古風な木の看板には久多宮ノ町とあります。と言うことは………

能見坂制覇!!

今日2つ目の峠を攻略です。花脊峠の標高755mには劣りますがそれでも標高653m。周囲の村落との標高差は凡そ280mにもなります。疲れた体でこの峠を登るのは不可能だったでしょう。

そして頂上からは今まで足を踏み入れたことのない安曇川流域の世界が広がっています。
そこで少し気になることが1つ。見たところ峠の頂上すぐの所には、その急カーブにもかかわらずガードレールがありません。真夜中に車が猛スピードで突っ切ったとすると、

 自動車:ブォオォオンブォオンブォンブォオォオンブォオン………ガシャン!!

あっという間にチーン街道まっしぐらです。と言うわけで皆さん、夜間は決してこの車が大好物の危険な峠に近づかないようお願いします。………全く国●交通省は何をやってんだか………

ここからは果てしなく危ない下り坂が続きます。雪解け水のせいで道路はさながら小川と化しているので、スリッピーなことこの上ありません。何も考えないで走るとさっきの車と同じ運命があなたを待ち受けていることになるでしょう。いずれにせよこの峠、全く峠経験のない方にはオススメは決して出来ません。それでも行くというか谷はただ一言、早まるな、考え直せまぁ、管理人のように坂道を何度も経験するとどうってことありませんが。

暫くの間、いくつものヘアピンカーブをあの信楽以来の猛スピードで爆走した後、突如視界が開け、茅葺屋根の民家が姿を現しました。久多到着です。聞くところによれば、ここは近年問題になっている限界集落の1つで、更に携帯電話は全社圏外という伝説の場所だそうです。因みに管理人は携帯電話を持っていないので試すことが出来ませんでした。この集落は超高級蜂蜜(葛川住民談:1瓶2万円也)とキャンプ地の貸し付けで持っている集落だそうな。そして異常気象時には能見坂も久多川沿いの道も封鎖されてしまうと言う、所謂陸の孤島です。真冬とかはどうしているんでしょうね? ものすごく気になります。

この集落は全体的に小さく、野山によって幾つかの箇所に分断されています。中央の写真はちょうど久多中央部に当たります。しかしいくら陸の孤島だと言っても、都会の喧噪から離れている点では変わりなく、ピクニックなどの目的地としては最高ですよ。自信を持ってオススメします。

しかし、当初管理人は久多を実際よりも広く考え、さぁ次が久多の中央部だなんて考えながら走っていたら、標識出現。「滋賀県 大津市

管理人:「!!」 
え゛〜、もう終わり!? しかしいくら目を擦って見直してみても標識の文字は変わらず。久多って狭いんですね〜。
さらば、久多!!

巨大なアーチ状の架橋を渡り、左の写真に写っているような極細の長い道を通り抜け、途中で工事現場をかわし――工事する必要なんてあるのか!?――、あっという間に鯖街道。中央の写真の標識に写っているように、若狭と京都を結ぶ鯖の交易路です。そして住民によれば午前は若狭湾に釣りに行く人の車の大群が北に突進し、午後3時を回った頃からは帰りの車がひっきりなしに来るんだそうです。以上のことは故郷の店ストアートナミで聞きました。管理人が着いたちょうどその日が本年度最後の営業日だったそうな。何でもキャンプのシーズンは今日で終わりなそうです。

ストアートナミでお土産も買ったことですし、余裕を持って帰るとしましょう。時計の針は12時を指し、太陽は中天に上っています。安曇川に沿って葛川地区を抜ける鯖街道を南下するだけの単純な行路なのですが、花脊峠、能見坂と唐はしてきた者にとっては多少堪えます。とはいえ、そんなに急な坂道でもないわけですから、根気よく進んでいきます。

前方にトンネル発見! (坂下トンネル)
トンネル内:ブオオ………  ゴオオ………  
管理人:「ひぃっ!!」 ←閉所恐怖症

はぁ……。ようやく抜けました。交通量が中規模以上のトンネルってホント怖いですね。

トンネルに懲りて川沿いの今は誰も通らない旧国道を使います。車が通らないのに、獣道になっておらず、日当たりも良好なので散歩道に最適かと………。因みに、スルーしたトンネルは恐らく行者山トンネル。昔ここを旅人が通ったであろうことは、今は寂しげに佇む、中央の写真のお地蔵さんが証明しています。結構変な物捧げられていますが……。

この辺になってくると毒々しいまでに青い水を深々と湛えていた安曇川も浅い川に過ぎません。そうこうしている内に牛の鼻トンネルを回避して、遂に花折トンネルを突破!! (余談ですがここの手前にある鯖街道花折の粟餅は結構美味しかったです。是非一度お試しを。)

トンネルを越えれば後は急降下あるのみ。ペダルを漕がなくてもいつもを遙かに超えるスピードの出る恐怖と快感………。結構複雑なもんです(?) 中央の写真をご覧下さい。花折峠を南から登る人は恐怖の4重ヘアピンカーブを突破しなくてはなりません。賢明な人はこの峠を南から突破しようなんて無茶な真似は止めておくことをオススメします………車もビュンビュン通るしね。

なおも急降下して、遂に到着!! 途中峠の分岐点! I have returned! ←マッカーサーの"I shall return."の改造版

こうして、管理人は穏やかな陽光の下、大原を通って遂に京都に凱旋したのでした。

しかし、帰ってきてあまりに重大な事実に気付いた。

管理人:「まだ2時かよ!」

ーTHE END−