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メディネト・ハブ碑文


海の民との戦い

§62 序文
1ホルス陛下の治世第8年、力強い雄牛、勇敢な獅子、力強い力の主はアジア人を捕らえ、2柱の女神の寵児、彼の父なるモントゥのごとくに力強く、9の弧を破壊し、(その民を)国から追い払う。聖なる血筋の鷹は 2ホルアクティの優秀な寵君にして神々の後継者であり、この世での神々の姿をこしらえ、彼等への捧げ物を倍加する。上下エジプト2ヶ国の王ウセルマアトラー・メリアモン、オンの支配者ラーの息子なる剛勇の王ラメセスVは両の腕を伸ばし、 3彼はその四肢から出る熱によって諸国の民から(生命を)奪い取り、モントゥのように力に富み、ラーのように戦いを[・・・、 絶えず ・・・]馬上で勇猛であり、徒歩で白兵戦を展開する。天空の流星のごとき戦士 4ラメセスVは[・・・]のように密集した戦列を[・・・]、アジア人を追い返し、エジプトの力をさほども知らぬ者達の版図で戦い、彼等は 5彼の力について聞いたことを互いに語り合い、(王の御前に)額ずく。[・・・]アジア人の[・・・]。彼の容姿は[真っ直ぐで]、バアルにさえ匹敵し、群を抜いて力強い。彼は 6たった一人で100万(人もの敵)を討ち、全ての国々は彼の御前で見下され、[・・・]出頭する。彼等は[・・・]来て、エジプトを見、彼の御前にひれ伏す。彼等は毎日言う。「モントゥは偉大な姿でエジプトの 7貴人達の内に力強き剣を帯びて君臨している。何を手に彼に襲いかかっても[・・・]彼に[・・・]彼の掌中にある」。王の出で立ちはイシスの息子にして 8ラー・アトゥムの長子なる守護者さながらに美しく、[・・・]白冠と赤冠を戴き、その美しい顔の上にタテネンさながらに2本の羽根飾りを付けている。彼の美しさは[・・・・・・・・・・・・]早朝の[・・・]のようで、ホルスとセトの王権を帯びつつ、アトゥムのごとくに玉座をしろしめし、南北の蛇冠は 9彼の頭上に置かれている。彼の両手には牧杖と鞭が握られ、[・・・]己が力に目覚め[・・・・・・]9の弧の[内にあって ・・・]。彼の父なる麗しき顔の(プタハ)やヌン(の頃)のように、彼の治世において家禽と食料は満ちあふれた。(陛下は)ラーの御子シューのごとく王としての慈愛に満ちていた。10彼が現れた時、アトンに対するような歓喜が辺りに満ち、力強く勇敢な彼を思いのままに集め[・・・]彼等をプタハさながらに作ったモントゥのように[・・・]。兵法に長じ巧みな点で彼に並ぶ者はおらず、ラーさながらに彼ラメセスVがその国を統べる間、 11[彼の事績は(?)]無数の記念碑に記録され、彼は素晴らしい仕事に長じ、寺院を盛り立て、[・・・]ラーの息子[・・・]、彼の四肢から全ての神々の長子として[・・・]。彼は若者を王に指名し、アトンの治める全ての地を支配させ、 12彼の治世を通して楯がエジプトを守った。彼等は彼の力の影にあり、[・・・]強者[・・・]王ラメセスV御自身は彼御自らの勝利に満ちた手を彼等の頭上にかざしつつ言った。

§63 ラメセスVの演説
13全地を統一した予の言うことに耳を傾けよ。王家の子等、皇子等、執事等、[・・・]住む[・・・]、[・・・]等、この国に住む全ての若人達よ。予の言うことを謹聴せよ。さすらば、汝等を生かし続ける予の計画も知れようし、 14我が美を作りし聖なる父アモン・カムテフの力について聞くことも出来よう。彼の大いなる力は[・・・]、全ての堕落した敵を予の足許に打ち倒した。彼は予に勝利を与え、彼の手は予と共にあり、そのため予の国境を侵した全ての侵入者達は予の手にかかって死に、 159の弧(の手)から[複数の者を救わねばならぬ時]10万人もの内から選び抜かれた彼は大過なく玉座を治める[・・・]。予はこの国を守り、予の勇猛な力でもってこの国を栄えさせる。予が太陽のごとく王としてエジプトで立ち上がった時、予はこの国を守った。 19予はこの国のために9の弧の民を駆逐した。

§64 北方人のシリア侵攻
異郷の国々は[・・・]、[北方人たち]は彼らの島々で陰謀を企て、一斉に・・・[戦い]へと赴いた。彼等の腕の前に持ちこたえられる国はひとつとしてなかった。ヒッタイトに始めとし、キズワトナ、カルケミシュ、アルザワ、 17アラシアに至るまでが彼等侵入者の手で荒廃させられた。アモリの内陸のとある場所に[彼等の]陣営が[築か]れた。彼等はアモリの民を滅ぼし、アモリの国をまるでかつて存在していなかったかのような有様に変えてしまった。彼等は行く手に大火災を広げながら、エジプトへと迫った。彼等は 18ペレセト、チェケル、シェケレシュ、ダヌナ、ウェシェシュの(諸族)連合からなっていた。連合軍はこの大地(エジプト)の周縁部に至るまでの地を手に入れた。彼らの心は自らの計略への信頼に満ちた。

§65 ラメセスVの準備
さて、このこと(海の民の侵攻)は、神の支配者たる予(ラメセスV)の御世に起こった。 19予は防備を固め、野鳥に対してするように[罠]を仕掛けた。彼(?)は予の兵力を配置し、予の計略を成功に導いた。予は前進し、エジプト軍の優秀な兵士を指揮した。予は我が方の前線をザヒに置き、海の民の侵攻に備えた。予は長官たち、歩兵の指揮官たち、 20貴族たちをナイルの河口に配備した。予は戦艦、ガレー船、はしけ、[・・・]を使って堅固な壁のような防御陣を強いた。それらの船上には、船首から船尾に至るまで[ぎっしりと]武器を携えた勇敢な戦士や、 21山頂で吼えるライオンのようなエジプト軍選り抜きの歩兵たちが乗っていた。二輪馬車の御者たちは[・・・]な戦士で、みな良い将校であり、戦いに赴く用意ができていた。彼等の二輪馬車に繋がれた馬の四肢は震え、 22足下の大地を踏みにじる用意ができていた。彼等はわが軍の白兵戦の有様を目の当たりにするかもしれないので、予は彼らの前にあって勇敢なモントゥ(Montu)のごとく振舞った。予ラメセスVは強行軍する中にあって英雄となり、彼(Montu?)の力を意識していて、 23戦いの日にあって彼の軍を勇敢に導いた。

§66 敵の敗北
我が国境まで侵入した彼等(海の民)とその子孫は絶え、彼等の心と魂はとこしえに消されてしまう。海上で彼等(エジプト軍)の前に集結した者達について言えば、河口の前で、あるいは 24彼等の周りの岸辺に作られた鋼の壁の前で、強烈な業火が彼等の前にあった。海の民の船は引っ張られて転覆し、浜辺にうち上げられ、侵入者は彼等の全ての所有物が水中に投げ込まれる一方、殺されて彼等の船の船首から船尾に至るまで死骸の山を築いた。(このようにして)予はエジプトに侵入した者にいかなる運命が降りかかるかの教訓を与えるために海の民を海に帰した。彼等は故国で我が名を唱えるとき、 25予がホルアクティの玉座に座し、ラーのごとく蛇冠を戴いている間は我が名は彼等を圧倒するだろう。予は彼等の[内にあって][・・・]なエジプトの国境を見たものを許さなかった。9の弧について言えば、予は彼等の国土を奪い、国境を後退させた。彼等(海の民)は予の所有物に加えられた。 26彼等の酋長と民は予を賛美(しに来る)。予は全てを支配する者、尊い者、神聖なる父、神々の支配者の計画を遂行した。

§67 ラメセスVの凱歌
おおエジプトよ、天高く喜ぶがよい。何故なら(汝は)アトゥムの玉座にあって南北の支配者なのだから。神々は予を 27エジプト王に任命し、異国の民に勝利し、これを駆逐することを委ねた。彼等神々は世が子供であった頃からこの国を予の物と定め、予の治世は稔り豊かであり[・・・・・・・・・]。予が神々のために行った奉納の数々を思い起こし、彼等は愛の心から予に力を委ねた。予は 28汝等の心の内にわだかまっていた悲しみを追い払い、汝等を平和に暮らさせた。予が打ち負かした物が戻ってくることはなかろうし、年貢[・・・・・・・・・]彼等の国[・・・]、彼等は絶えず予ラメセスVの名を言うことを憚る。 29この国の支配を引き受けて以来ずっと、予はエジプトを保護し、その勇敢な力はエジプトを守り続けている。[・・・]予の両の腕の力は9の弧の民に恐怖をもたらす。その名を聞いて踏み止まりうる国はなく、 30(それどころか)町から逃れ、国から飛び出し、[・・・]見捨てる[・・・]彼等の前[・・・]。予は鋭き角の雄牛で、予の角は自信に満ちている。予の心が「[・・・]せよ」と言った時、その手は 31以下に記すように予の剛勇を発揮し尽くした。[・・・]予の将軍達[・・・]朝の帆船の舳先で汝等に歓喜をもたらした。 32彼等の国には悲しみが立ちこめ、全ての国々は恐れ戦き[・・・]予のなした[・・・]。予の心は神のごとく[・・・・・・]剣の主その人のような勇気に満たされた。予は彼の力が 33他の全ての神々(のそれ)に優ることを知っている。神意[・・・]の許に[・・・]神々が[・・・]予の治世は[・・・]。汝が(予の)傍らにいない時は片時もなく、 34エジプトを助けるため、予の心の内になされる汝の助言に基づく計略により、略奪者は誰もやってこない。[・・・]は荒廃し、彼等の町々の酋長は一度に打ち負かされた。彼等の果樹園と全ての民は焼き尽くされた。 35彼等は「我等は[・・・]彼等の[・・・]エジプトに[・・・]」と言って嘆く。

§68 ラメセスVの凱歌(承前)
予は力強く勇敢で、我が計略は失敗した試しがない。 36予は、かの神々の父[・・・ 知る故に]その卓越性を示した。[・・・]。予は彼の寺院に配慮しないことがなく、(それどころか) 37先代の(諸王の)2倍も祝祭や奉献において忠実に尽くした。予の心は常に真実に満ち、予を憎む者達は倒れ[・・・]、神々は真実に満足する。彼等の手は楯として予の身を守り、 38予の四肢から悪と災厄を遠ざけ、王、9の弧の支配者、2国の主ラメセスVはラーのごとく生命や安全、そして喜びを永遠に与えられる。

レリーフ

1:武器の配布:ラメセスVが兵士達への武器の配布を監督。
・王の後ろの文
全ての神々は彼の四肢の守護者であり、彼に全世界に対する力をお与えになった。
・王の前の文
[・・・]王は王陛下の御前に控える王子、全歩兵隊長、全戦車隊長に言われる。「武器を[・・・]持ち出せ。エジプトを知らざる敵を撃破すべく、弓兵隊を進軍させよ。」
・官僚の頭上の文
王子、貴族、歩兵隊長、戦車隊長は言った。「汝はエジプトにあって最も輝かしい王である。{汝が}栄え行く時、2つの国土(エジプト)は繁栄する。9の弧の内にあって汝の力は偉大である。汝の咆哮は太陽の円周にまで及び、汝の剣の影は汝の軍勢を覆う。彼等は汝の力に満たされて進軍する。汝の計略は揺るぎなく、それが故に汝の心は勇気に満ちている。アモン・ラー御自身が現れ、我等を案内してくださるかのように(汝の指揮は揺るぎない?)。彼は汝と共にあり、汝のために全ての国を打ちのめしてくださるだろう。そして{汝の}心は喜びに満ち、永遠に[・・・]。[汝は](危急の時にあっては)すぐに駆けつけ、我らを保護してくださるお方である。彼等の町で[・・・]、汝に指示を与える汝の父アモン神の力によって、テメフー人(Temeh)の心は千々に乱れ、ペレセト人は不安に苛まれる。」
・武器の近くにいる将校の頭上の文
[・・・]歩兵隊に、戦車隊に、弓兵隊に武器を与える。
・武器を受け取っている兵士の頭上の文
{武器を}受け取っている歩兵と戦車兵。

2:ザヒへの出陣:ラメセスVが二輪馬車に乗り、エジプト軍とシルダーヌ傭兵を率いてザヒへ出陣する。
・王の上の文
力に富める王が北方に出陣する時、アシア人は大いに恐れ、手の業に長じた唯一の主は己がちからに目覚め、バアルさながらの勇猛さでアシア人との戦いに備え、[自信満々に]遠くまで進撃し、一時に数万もの敵を討ち、(屍の)山を築いた。彼は敵の戦士を火さながらに壊滅させ、手向かう敵を[灰]にした。彼等は王の名前(を口に出すこと)をひどく恐れ、一方彼はナイルの両岸を照らす太陽のように、(未だ)遠方にあり、エジプトの防壁としてエジプトに影を落とす。(そして、エジプトの)民は彼の力を[信用して]暮らす。
・馬たちの頭上の文
陛下の治世の最初の頃、この馬は「剣を与えしアモン」と呼ばれた。
・王の後ろ、シルダーヌ(Shirdanu)傭兵の頭上の文
陛下は反抗的な国々を粉砕すべく、勝利の力を帯びて出陣した。陛下はさながらモントゥ神のような姿で、彼の国境を侵した者どもを踏みつぶすべく、ザヒに出陣した。彼の歩兵隊はさながら野戦の用意の出来た雄牛のようであった。{彼の}馬はその力に及ばない小鳥のまっただ中にいる鷹のようであった。9の弧は(彼の)力の許にあった。彼の神聖なる父アモン神は、王[・・・]、2界の王であるラメセスVの楯であった。

3:海の民との陸戦:ラメセスVは大弓で海の民を苦しめ、彼の周囲をエジプト軍とシルダーヌ傭兵が固めている。
The Sea Peoplesより
・戦いの上の文
彼のいるところでは、まるでセトが憤怒に駆られて敵を天上の帆船の前に倒し、屈服した敵を踏みつけるように、彼の敵を[・・・]馬蹄にかけて粉砕した。彼の怒りはまるで火のように彼等を圧倒し、彼等の庭を荒廃させた。
・王の乗馬の上の文
陛下の治世の最初の頃、この馬は「アモンに愛されし者」と呼ばれた。

4:海の民との海戦:ラメセスVが岸辺で戦車に乗って、海戦の模様を観戦している。
The Sea Peoplesより
・王の近くの文
力強き良き神、エジプトの地をしろしめすモントゥ神、諸国の内にあってバアル神のごとく強大な兵力を誇り、大いなる勇気(lit.心)、強い角、恐るべき力を持ち、[・・・]な壁であり、エジプトを支配する王ラメセスV。
・二輪馬車の上の文
見よ、彼等の島々のある北方諸国は彼等の四肢の下にあって動揺し、彼等はナイル河口への道に蝟集する。陛下が彼等に嵐のごとく迫り、浜辺で戦士のごとく戦ったとき、彼等海の民の鼻孔は呼吸を止め、心臓は鼓動を止める。彼の勢力と彼への恐怖は、彼等の四肢に染みこんだ。彼等のいたる所で、転覆して死に、心を奪い取られ、魂は飛び去り、その武器は海に放り込まれた。彼の矢は彼が狙った者を寸分の違いもなく貫き、彼の矢に撃たれた者は水中に墜落した。陛下は怒り狂った獅子のように、彼等の前に立ちはだかる者を両の手で引き裂き(?)、セトのように彼の右手の接戦になっている一角で戦い、左側でアモン・ラーのように勇敢に戦った。彼、上下エジプトの王、2界の王、ウセルマアトラー・メリアモンは諸国を制し、彼の足許で全ての国々を踏みにじった。

5:捕虜の検分:ラメセスVが、海の民の捕虜の数と殺された敵の手の数の勘定を王宮前で監督している。
・王の近くの文
陛下は王子達、王の執事達、二輪馬車の御者達に言った。「我が父アモン・ラー神の大いなる力を見よ。海の真っ只中の彼等の島々から来た軍勢は己の武器を恃んでエジプトに侵入したが、罠が彼等に対して仕掛けられ、彼等を陥れた。彼等は密かに河口に侵入して罠に落ちた。彼等はそこに拘束され、我が軍はそこへ急行した。そして彼等の体は切り刻まれた。予は諸君に予が独りで成し遂げ得た事共により、予の力を示した。我が矢は彼等に降り注ぎ(lit.捉え)、予は小鳥の中の鷹のごとく活躍し、我が手は彼等の頭上に落ち、誰も我が軍の攻撃から逃れられなかった。アモン・ラー神は予と共にあり、彼の力は我が四肢に満ち、諸君は激動の内に戦い、予の助言と計略を成功に導いてくれた。アモン・ラー神は我が敵の[・・・]を示し、全ての国を我が支配下に与えた。」
・官僚の頭上の文
王子達、騎士達は良き神に答えた。「汝はアモン・ラー神であるかのごとく輝いている。汝の力は9の弧を打ちひしぎ、全世界は汝の名を聞いて戦慄する。汝の権威は常に彼等の前にある。エジプトはラー神のごとく命を与えられた剛腕のアモン神の息子ラメセスVがその玉座にいる限り繁栄するであろう。」
・王宮の上の文
へリオポリスの支配者ラメセスのミグドル。
・王の乗馬の上の文
陛下の治世の最初の頃、この馬は「力強きアモン」と呼ばれた。
・馬丁の上の文
彼の武器で(この偉業を)成し遂げ、全ての国をまるで存在していなかったかのようにした、剛腕の、力強き、手の業に長けた王よ、(永久に)生きよ。
・捕虜の上の文
打ち破られたチェケル人の酋長が言った。「バアルのごとく、[・・・]、[・・・]は我々に汝の与えた息吹を与えた。」

6:捕虜を神殿に奉納:ラメセスVはチェケル人とリビア人の捕虜をアモン、ムト、コンスの前に連れて行く。
The Sea Peoplesより
・アモンの上の文
天界の王、神々の支配者アモン・ラーは言った。「汝、喜び我が許へ来た者よ。汝は9の弧を圧倒し、全ての敵を倒す。汝は我が策によって[・・・]、アジア人の心をうち砕き、彼等の鼻孔から呼吸を奪った。」
・王の前の文
彼の父、神々の王アモン・ラー神の前でラメセスVは言った。「予は9の弧を制覇し、全ての国を圧倒すべく出陣した。1つとして予の前に踏みとどまる国はなく[・・・]、そして予の手は全ての国を先頭に捕虜を捕らえ、汝の口より下された予の敵全てを倒せと言う命令に従って[・・・]。予がモントゥのごとくあった{ため}、諸国は戦きながら予を見守った。汝の計画を信じる彼[・・・]、おお(我が)守護者よ、力の主よ。[・・・]」
・チェケル人の上の文
かつてチェケル人の内にあって偉大な者だったが没落し、その時陛下の掌中にあった者は、この良き神、2界の王、ウセルマアトラー・メリアモンに言った:「陛下の力は偉大です。勝ち誇った王、エジプトの偉大なる御子息よ。陛下の力は砂岩の山より大きく、その恐ろしさはセトさながらであります。我らが呼吸を続けられるように御慈悲をお与え下さい。我が命は永久に陛下の掌中にあります。」
・リビア人の上の文
陛下の掌中にある没落したリビア人が言った。「御慈悲を、御慈悲を! 勝ち誇った王よ、ホルスよ、偉大なる国王陛下。」

7:剣の授与:アモン神がムト神と共に3列の捕虜を捧げたラメセスVに剣を与えている。
・アモン神の前の文
天界の王アモン・ラー神は言った。「汝は平和をもたらした! 汝は汝の敵を捕らえ、汝の国境を侵した侵入者を殺した。我が力は汝と共にあり、汝のために諸国を圧倒した。汝はアジア人達の首を切り落とした。私は汝に汝の大いなる力を与えた。彼等は陛下を我が息子バアルが憤怒に駆られたような力の内に見た。」
・王の前の文
王ラメセスVは、彼の父、神々の支配者アモン・ラー神に言った。「汝の力は偉大である。おお、神々の支配者よ。汝の口から発せられた事共は失敗なく[・・・]成し遂げられた。汝の力は、予が我が国境を侵した国々を圧倒できるように、我が後方に楯のごとくあった。汝は予に対する敵の酋長の心を恐怖で満たし、予に対する恐怖が彼等の前にあり、予は彼等を汝のカァに導くために彼等の戦士の命を奪い、或いは予の掌中に収めた。おお、神聖なる我が父よ。[・・・]。来たれ、彼等ペレセト、ダヌナ、シェケレシュの輩を[捕らえる]ために。汝の力は予の前にあり、汝の力[・・・]彼等を圧倒した。おお、神々の主よ。汝は王に力を委ね、彼を信頼した。汝の道を歩む者には平和がある。汝は寄りかかる者のために剛腕を奮う、自身の力に気付き、戦いの用意の出来た、2本の角を持った雄牛である。汝は予の美しさを造り、最強を誇るにもかかわらず、予を尊敬し、9の弧の支配者に選んでくださった聖なる父である。汝の手を、我が四肢の力でもって全ての侵入者を防ぎ、殺せるように、予と共にあらせたまえ。」
・捕虜の上の文
陛下の掌中にある全ての国の指揮官達、かつてチェケル人の内にあって偉大な者だったが没落し、その時陛下の掌中にあった者は、この良き神、2界の王、ウセルマアトラー・メリアモンに言った。「陛下の力は偉大です。勝ち誇った王、エジプトの偉大なる御子息よ。陛下の力は砂岩の山より大きく、その力はバアルさながらであります。我らが呼吸を続けられるように御慈悲をお与え下さい。我が命は永久に陛下の掌中にあります。」
・中央の列の捕虜の上の文
打ち破られたダヌナ人は言った。「お慈悲を、お慈悲を。おお、良き支配者、モントゥ{のように}偉大な力を持たれる御方、テーベの玉座に座したもう君よ。」
・下側の列の捕虜の上の文
打ち破られたペレセト人は言った。「我々の命のために御慈悲を、おお、王よ、アモン神の息子よ。」

※出典:Texts from the Medinet Habu Temple
※翻訳:私訳


 

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